サポーティブペリオドンタルセラピー (SPT)

サポーティブペリオドンタルセラピー (SPT)

最近では、メインテナンスという言葉に代わってサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)と言う用語を使うことが提唱されています。
SPTは中程度以上の歯周疾患の一連の治療が終了し、一部深い歯周ポケットは残っているものの病状は安定している場合、歯周組織を長期的に病状安定させるための継続的な治療です。
SPTは、定期的な「プロケア」が主体ですが、次の来院時までの「セルフケア」を行ってもらうための指導も重要な役割を持ちます。
歯周病治療後の再発防止のために大切な治療です。
定期的な通院を心がけましょう。

          

歯周病には患者さんの行動が大きくかかわる!

現在、当医院には定期的にメインテナンスに来られる患者さんが多くいらっしゃいます。 でも単に1か月から3か月に来院し口腔内を徹底して清掃することだけでは歯 周病の問題は解決しません。 歯科衛生士と患者さんが歯周病を管理するためには、まず患者さん自身が疾患に対して向き合うことが出来るように支えること、そして毎日の歯の健康管理の方法を教えセルフケアを成功させていくように支援することが必要です。こうした積み重ねがなければ歯周病の原因を改善することが出来ません。現実的にプラークを取り除くという日々の習慣が大事なのです。「毎日歯磨き面倒だし、歯医者でクリーニングしてもらっていれば大丈夫でしょ。」はダメなのです。 定期的にPMTCを行っても継続的なセルフケアがない限りPMTCそのものの効果はわずかしかないとされています。患者さんのセルフケアが難しい歯面や炎症がある歯肉においてPMTCだけを行ったとしても、プラークがなくなるのは一時的にすぎずその後プラークの付着は健康的ない肉より早く起こり、その状態が継続的に続くことになり歯肉炎さえ解消されないに決まっているのです。 つまり、患者さんの歯周病を管理するのは常に全歯面からバイオフィルムを持続的に除去することが重要となります

歯周治療に関する専門用語の解説

歯周治療に関する専門用語の解説

歯科治療に直接関わる医療関係者以外の方々に対して、歯周治療の説明を受けられる際に理解の助けになるよう専門用語の解説を簡単に述べていきます。

● 歯周組織

    歯の機能を支持する歯の周囲の組織。歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨からなる。

● 歯周病

    歯周組織にみられる疾患群の総称。狭義では歯肉炎、歯肉炎及び光合成外傷が相当する。さらにプ

            ラークに起因する

           歯肉炎、歯周炎のみをさすこともある。

● プロービングポケットデプス

    プローブ挿入時の歯肉辺縁からのプローブ先端部までの距離をいう。臨床的にはおおむね3mm以下を正常とする。

          歯周病が進行すると概してその距離が大きくなる。

● 歯肉溝浸出液

    歯肉溝上皮から浸出してくる組織液。臨床的には歯肉の炎症に伴い、その出液量の増加がみられる。


 

● 歯周基本治療

    歯周病の病原因子(主に細菌からなるプラーク)を排除して歯周組織の病的炎症をある程度ま

で改善し、その後の歯周治療の効果を高め、成功に導くための基本的な原因除去療法をいう。プラークコントロール、スケーリング、ルートプレーニング、咬合調整、抜歯などの処置が主体となる。

  • スケーリング       歯肉に付着したプラーク、歯石、その他の沈着物を機械的に除去する操作。歯周病の予防や治療 の一手段として重要な位置を占め、スケーラー(専用器具)を用いて行う
  • スケーリング・ルートプレーニング(SRP     歯石や細菌、その他の代謝産物が入り込んだ病的セメント質あるいは象牙質をスケーラーを用いて取り除き、根面を滑沢化すること。
  • 歯周外科治療    歯周基本治療後に行われる外科的治療法の総称。
  • サポーティブぺリオドンタルセラピー    歯周基本治療、歯周外科治療などにより病状安定となった歯周組織を維持するための治療。プラークコントロール、スケーリング、ルートプレーニング、咬合調整、抜歯などの処置が主体となる。
  • メインテナンス

歯周基本治療、歯周外科治療などにより治癒した歯周組織を長期間維持するための健康管理。

歯周病はプラークコントロールが不十分だと容易に再発することから、定期的なメインテナンスは、患者本人が行うセルフケア(ホームケア)と歯科医師・歯科衛生士によるプロフェッショナルケア(専門的ケア)がある。

 

                    日本歯周病学会 歯周治療ガイドラインより抜

歯周病と全身疾患との関連

歯周病は、細菌感染を原因として起こる慢性の炎症性疾患ですが、その発症や進行過程には宿主(生体)の感受性(抵抗性)が影響し、さらに遺伝的因子や環境的因子などが大きく関係しています。

 

ある疾患の発症や進行を規定する因子、あるいは発症や進行を予測する因子を危険因子といいます。現在、歯周病の2大危険因子として認知されているのは、喫煙と糖尿病です。

 

しかし、歯周病の発症・進行に影響する可能性を持つすべての全身的要因を、危険因子群として考えます。また、歯周病がその全身的な危険因子群の影響を受けるだけでなく、最近、歯周病そのものがそれらの危険因子群の危険因子として注目されてきています。

 

現在では、糖尿病、冠動脈性心疾患、呼吸器疾患、妊娠にまつわる合併症そして骨粗しょう症などと歯周病との関連が示唆されてきています。

 

 


● 糖尿病と歯周病

 

 糖尿病には、インスリン依存型とインスリン非依存型がありますが、ともに歯周病の重要な危険因子とされ、糖尿病の罹患期間とコントロールの状態により危険度も左右されます。糖尿病患者の付着歯肉の喪失は糖尿病でないものよりい大きいという報告もあります。

また、細菌に感染した状態(コントロールされていない歯周炎)ではインスリンに対する抵抗性が悪くなり、血糖値が高くなりやすくなることがわかってきました。さらに歯周炎に起因する咀嚼障害により、食事療法や薬物療法を正しく進められなくなります。

つまり、歯周病を放置すると糖尿病そのものに悪影響を与え、血糖コントロールが悪くなる為に、さらに歯周病が進行しやすくなります。

 

 

● 冠動脈性心疾患と歯周病


 「高血圧・高コレステロール血症・喫煙・一般的慢性感染症など」とともに、近年は「歯周病」も危険因子のひとつとして考えられるようになりました。冠動脈に病変をもった為に腹部・胸部大動脈瘤切除術を受けた患者に対して一部の冠動脈組織中から歯周病菌の存在も確認されています。
 


● 呼吸器疾患と歯周病


 高齢者の肺炎の多くが誤燕性肺炎と考えられています。誤燕しやすい高齢者は誤燕を繰り返し、肺や気管支に口腔細菌が流入し、それが起因菌となって誤燕性肺炎を発症します。予防の1つとして口腔ケアの重要性が指摘されています。実際に口腔ケアを行う場合、高齢者の口腔内は残存歯数や位置、歯周疾患の程度、義歯の有無などによって異なるので適切なケアが重要になってきます。
 


● 妊娠と歯周病


 妊娠中はホルモンの変化により歯肉炎などを引き起こしやすくなってきますが、進行した歯周病があると低体重児(未熟児)を出産するリスクが高く、また早産も多くなるという報告もあります。
 


● 骨粗鬆症と歯周病


骨粗鬆症は、単なる「骨の老化現象」ではなく、骨の病的変化を主とする疾患です。積極的な骨粗鬆症が行われていくにつれて、歯の喪失、無歯顎化、歯槽骨の吸収およびアタッチメントロスに対して、抑制的な効果があることが報告されています。さらに高齢の骨粗鬆症が疑われる方々には、発症した歯周炎がより進行しやすい可能性があります 

バイオフィルムとは?

バイオフィルムとは?

 

歯の表面には無数の菌が増殖しています。一般に歯の汚れといわれるものは食品由来の着色成分を除けば細菌の塊(プラーク)です。
プラークの形成は,唾液由来の糖タンパク質を主成分とした薄膜(これをペリクルといいます)が,歯面に付着することから始まります。このペリクルの上にストレプトコッカス・ミュータンス菌や、ストレプトコッカス・サングイスといわれる口腔レンサ球菌が付着してきます。これらが、グルカンやフルクタンといわれる多糖体を作ります。

 

これらの多糖体は粘着性があり細菌を歯面に付着させたり、細菌を凝集させる作用があります。付着した細菌が増殖すると歯茎の溝や歯の溝に細菌の集落を作ります。この集落を覆う膜のようなものをバイオフィルムといいます。

 

そしてこれがむし歯や歯周病の原因となります。

 

バイオフイルムは色々なところで見ることができます。排水溝や台所の三角コナーが汚れてヌルヌルするのもバイオフィルムです。口臭の原因となる舌苔や入れ歯を入れたままにしておくと、表面がヌルヌルしてくるのもバイオフィルムです。

 

そしてこれらのバイオフィルムは抗生物質などの薬剤が効かず除去もうがいや水洗などではできません。

 

 

どうしてバイオフィルムに薬が効かないの?

 

むし歯や歯周病はバイオフィルムによる細菌感染症ですが,薬による予防が進まなかった理由のひとつに、薬がバイオフィルム内部に入っていかないということが上げられます.バイオフィルムの中の細菌は糖質の膜を作り、より固いバイオフィルムを形成します。糖質により保護された細菌群はバリヤーをはった状態になっているので、その中に薬や抗生物質が入っていけないのです。では、どうすればバイオフィルムを除去できるのでしょうか?

 

 

バイオフィルムを除去するには?

 

歯の表面は歯磨きや固い食事の為に少しずつ,粗造になっていきバイオフィルムが付着しやすくなります。バイオフィルムはうがいや水洗をした程度では取り除くことができません。除去方法は家庭で行うセルフケア(ブラッシング、フロッシング、歯間ブラシを用いた清掃)や歯科医院での定期的なプロフェッショナルケア(除石やPMTC)です。


歯周組織とは?

歯は木に打ち込まれた釘のように顎骨の中にささっているのではありません。歯根が歯根膜という繊維性結合組織によって歯槽骨の中に弾力的につるされています。
この歯を支持する組織を歯周組織といい、その組織の中には歯肉、歯槽骨、セメント質、歯根膜があります。

歯肉(歯ぐき)
 お口をあけると見えるように、歯周組織の一番外側にあり外界の影響を受けやすい組織です。

 

歯槽骨
 顎の骨から伸びだしていて 歯根の周りを取り囲んでいる骨のことで歯根膜が付着しています。歯とは直接には結合してはいません。

 

セメント質
 歯根膜と結合している 歯の組織の一部です。

 

歯根膜
 セメント質と歯槽骨の間にあり歯と歯槽骨を結合する繊維で、噛むときの力が、直接顎の骨に伝わらないクッションの役割も持っています。 


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