レントゲンの安全性と有用性について

 

・歯のレントゲン撮影ににおける放射線の量(安全性)
私たちは知らない内に自然界から放射線を受けています。歯のレントゲン撮影における放射線量は自然放射線の年間総量の1/100程度ですので、まったく影響はありません。
また、レントゲンを撮る際に鉛のエプロンをつけることで線量はより減少します。

・診療時の放射線の量
実効線量とは・…放射線の人体に対する影響を考えて定められた被爆の単位のことです。

*歯科標準撮影とは …局所を写す小さいレントゲンのことです。
*歯科パノラマ撮影とは…顎全体を写す大きいレントゲンのことです。

上の表から、歯科治療に用いるレントゲンで被爆する量はかなり低いということがおわかりいただけると思います。私たちが受ける1年間の自然放射線量と比べてもかなり低いものです。

 

・放射線被爆による影響
しきい値とは…これ以下であれば人体に影響をあたえないといえる値です。

妊婦および妊娠の可能性のある女性は、とくにレントゲンの影響を心配されるかもしれませんが、歯科レントゲン撮影は胎児への影響についてのしきい値である100ミリシーベルトの2000分の1以下で行われます。また照射部位は子宮から離れており、直接子宮方向へX線が向くことはほとんどありません。鉛入りの防護エプロンを着用することによりさらにX線を1/100程度に低減するので、まず心配はありません。他の部位についても同様で心配される必要はありません。

・レントゲン検査でわかること(有用性)
見えにくい場所に出来たむし歯、歯周病の進行程度、歯の根の状態、骨の病気、腫瘍、埋伏歯(歯肉に埋もれている歯)など、目で見てわからない症状がレントゲン撮影をすることによって的確にわかります。(見えない部分がわかるレントゲンでの情報は患者さんの健康と診療に大変役立ちます。)

 

 

歯の名前について

歯の名前は乳歯と永久歯では呼び方が異なります。そして、それぞれの歯には一本ずつ番号(記号)が付いていて、歯科医療に携わる人同士の情報伝達がスムーズにいく様になっています。


○乳歯
 

 乳歯はアルファベットで呼ばれており左右の真ん中(正中)から順にABCDEとなります。

   A・・・・乳中切歯
   B・・・・乳側切歯
   C・・・・乳犬歯
   D・・・・第一乳臼歯
   E・・・・第二乳臼歯

上下とも左右に5本ずつ合計20本です。

 

 


○永久歯
 

 永久歯は数字で呼ばれています。左右の正中から順に12345678となります。
    
  1番・・・中切歯
  2番・・・側切歯
  3番・・・犬歯(糸切歯)
  4番・・・第一小臼歯
  5番・・・第二小臼歯
  6番・・・第一大臼歯
  7番・・・第二大臼歯
  8番・・・第三大臼歯(親知らず)

現在多くの方は上下左右に各7本ずつ、合計28本の永久歯で歯並びができていますが、親知らずのあるなしで数本の差があります。

 

唾液の働き

唾液の働き


 唾液は通常、健康な人で1〜1.5リットル分泌され口腔内を潤った状態にしています。pHの正常範囲は約6.8〜7.4で通常中性であり、比重は1.000〜1.020となっています。

 

全唾液中の99%以上が水分であり、そのほかに約0.2%がカルシウム、リン酸、フッ化物、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、塩素などの無機質で約0.3%がタンパク質、尿素などの有機質、さらに0.1%が剥離上皮細胞、白血球、赤血球、微生物となっています。

 

私達が無意識に行っている「食べること、しゃべること」など唾液は大切な役割を果たしています。一番よく知られているのはご飯やパンなどのでんぷん質を唾液中の酵素であるアミラーゼが分解して吸収しやすくする消化作用、味物質を溶解して味覚を促進させる溶解作用、食べかすを洗い流す洗浄作用、発音や会話をスムーズにする円滑作用などがあります。

 

またその他に唾液中の特殊なタンパクはリン酸とカルシウムをいつも飽和状態になるように維持し歯の表層に起こるごく初期のむし歯を自然に修復するように働いています。

 

また、唾液は酸性の食物などによりpHが下がり歯が溶解しやすくなってもまたpHを元に戻そうとする緩衝作用、唾液中の抗菌作用を有するタンパクも存在し病原微生物に抵抗する作用もあります。それから義歯を口腔内でよりよく使用するためにも唾液が必須です。
 


唾液の分泌場所


 唾液は左右両側に一対ずつ存在する耳下腺、顎下腺、舌下腺の三大唾液腺から主に分泌され、このほかには多数の小唾液腺からの分泌物および歯肉溝滲出液などが口腔内で混合され、全唾液(混合唾液)を構成しています。

・耳下腺:最も大きい腺で、頬の皮膚のすぐ下で後端から耳のし たあたりにあります。

 

・顎下腺:耳下腺の半分ぐらいの大きさで下顎の骨の内側で、口腔底の下にあります。
 

・舌下腺:3つの腺の中でも最小で、顎下腺の20%くらいの大き さです。口腔底のすぐ下にあり、顎下腺の開口部の近くにあります。

 

 


唾液とう蝕・歯周病との関係


 う蝕と歯周病は細菌バイオフィルム感染症であり、生活習慣病 であり、そして遺伝子病でもあると考えられています。唾液は歯および歯周組織や口腔粘膜を防御し、口腔内の細菌や微生物に対して大きな影響を与えています。

 

唾液の生理機能の一つである抗菌因子が口腔内の病原性微生物に対して抑制的に作用し、う蝕や歯周病を抑える要因になります。また、唾液の緩衝作用も抗う蝕要因です。

歯牙・歯周組織の痛みについて

歯牙・歯周組織の痛みの原因にはいろいろありますが、その痛みを速やかに取るためには、処置の前にまず的確な診断を下し、その疾患に合った処置が必要になります。その診断を下すためにはまず、問診か診査によってデータを収集する必要があります。


その際、ただ漫然と診査を行うのではなく歯牙・歯周組織に生じる痛みの原因疾患(表1)を念頭において問診・診査を行っていく必要があります。そして得られたデータから総合的に判断して診断を下しています。

(表1)
 歯牙・歯周組織の痛みの原因疾患

 

歯牙の痛み 歯周組織の痛み

 

 1歯髄炎
 2根尖性歯周炎
 3知覚過敏症
 4歯内―歯周関連病変
 5歯牙破折
 6その他

 1辺縁性歯周炎
 2咬合性外傷
 3歯内―歯周関連病変
 4智歯周囲炎
 5その他

 

 

診査について


1. 視診


まず、歯牙及び歯周組織の状態を視診によって確認します。すなわち、う窩や修復物の状態、歯質に亀裂や破折線がないか、楔状欠損の状態などを視診します。歯周組織については、歯肉の発赤、腫脹およびろう孔の有無を確認します。
膿瘍・ろう孔が認められる場合には、その位置及び範囲によって原因疾患を鑑別します。すなわち、膿瘍・ろう孔が辺縁部歯肉に存在する場合には歯周病変由来が、根尖部歯肉に存在する場合には歯内病変由来が疑われます。

 


2. う蝕の範囲の診査及びポケット測定


探針などでう蝕の状態を診査します。う窩が深かったり、広範囲に拡がっている場合には、歯内病変が原因疾患となっている可能性があります。逆にう蝕が認められず、深い歯周ポケットの存在など歯周病変を疑う所見が見られた場合には、歯周病変由来であることが多いです。

歯周ポケットの深さの測定

 


3. 打診


当該歯の垂直打診・水平打診を行います。一般的に垂直打診がある場合には根先病変の存在が、水平打診がある場合には辺縁部歯周病変の存在が疑われるとされています。

 

 

4. 動揺度


当該歯の動揺度を診査します。

 

 

5. エアーによる診査


エアーを吹き付けることによって痛みが誘発されるかどうかを診査します。

 

 

6. X線診査


X線写真によりう蝕、根尖病巣、破折線の有無、辺縁部歯槽骨の吸収などの状態を診査します。X線写真は情報量に富む診査法であり、診断を下す際には有力なデータ・ソースとなります。

 

 

7. 電気歯髄診査


電気歯髄診断機を用いて歯髄の生死を判断します。反応がまったくなかったり、比較的大きな値で反応を示した場合には歯髄壊死もしくは歯髄壊死しつつあると診断して根管治療を行います。また逆に歯髄が生活していると判断された場合には歯周病変由来を疑います。

  
電気歯髄診断機    検査時の様子


これまでの問診、診査などから総合的に診断し原発病変が特定できたら、その病変に対して治療し除痛を図ります。ただし歯内―歯周結合病変由来で急性症状が生じている場合には、まずその急性症状の原因としてどちらの病変が主体となっているかを判断してから除痛処置を行います。そして症状が落ち着いついた後で本格処置を開始します。 

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